日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
排尿機構にかんする検討
第10報 尿流量率・筋電図同時測定の臨床的意義
朴 英哲金子 茂男八竹 直栗田 孝
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1983 年 74 巻 8 号 p. 1346-1351

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抄録

膀胱内圧・括約筋筋電図同時測定 (以下CMG-EMG) および尿流量率・筋電図同時測定 (以下UFM-EMG) をともに施行した149名を対象に, detrusor sphincter dyssynergia (以下 dyssynergia) の判定における両者の価値を比較検討した. CMG-EMGにて synergia と判定された85名では, UFM-EMGにても82名が同様に synergia と判定された. しかし, CMG-EMGにて dyssynergia と判定された16名では, UFM-EMGにより8名のみが dyssynergia と判定され, 残る8名は synergia と判定が覆された. さらにCMG-EMGにて判定困難であつた48名については, UFM-EMGにより35名が synergia と, 7名が dyssynergia と判定され, UFM-EMGにても判定不能であつたのは6名を数えるにすぎなかつた. 以上の如く, CMG-EMGにて synergia と判定された場合は, さらに追加検討の必要はないと考えられたが, CMG-EMGにて dyssynergia あるいは判定困難な場合には, UFM-EMGによる再検討を行なつたうえで最終診断を下すべきであると考えられた.
症例を膀胱内圧曲線のパターンから4型に分類し, 各群における dyssynesgia の出現頻度を比較検討した. 完全下位型膀胱において最も dyssynergia の出現頻度が高く5/19 (35.7%), 以下上位型3/19 (15.8%), 不完全下位型8/65 (12.3%), 正常2/51 (3.9%) の順であつた.

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