日本泌尿器科学会雑誌
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原著
筋層非浸潤膀胱癌に対する低用量BCG膀胱内注入療法の効果
塩﨑 政史大池 洋羽場 知己山本 哲平小口 智彦飯島 和芳加藤 晴朗西澤 秀治岡根谷 利一
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2020 年 111 巻 3 号 p. 82-88

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抄録

(目的) Bacillus Calmette-Guérin(BCG)膀胱内注入療法は筋層非浸潤膀胱癌の重要な治療法である.当院で副作用低減を目的として施行した低容量(40 mg)BCG膀胱内注入療法の導入療法(8回完遂)につき有効性を検討した.

(対象と方法) 2003年9月~2018年11月までに低容量BCG導入療法を受けた179例につき,奏効率,非再発率,副作用発生率を検討した.

(結果) 年齢中央値73歳,男女比137:42,観察期間中央値32カ月,8回完遂は149例(83.2%).全奏効率は88.8%で,低悪性度群(100%)が高悪性度群(86.3%)に比して有意に高かった(p=0.017).G1/G2/G3による分類,性別,年齢,上皮内癌(CIS)の有無,深達度,投与目的,副作用別については有意差がなかった.全非再発率は1年,3年,5年でそれぞれ91.8%,76.7%,71.3%.深達度,異型度,投与目的,CISの有無,完遂有無別の非再発率はいずれも有意差はなかった.CTCAE≧G2の副作用は71例(39.7%)あり,うち入院を要したG3の症例は3例あった.

(結論) 当院における低容量BCG膀胱内注入導入療法は,完遂率も高く副作用も少ないが,治療効果においては過去の標準量投与の報告と比較して大きく劣ることはなかった.低容量BCG導入療法は症例を選択すれば有効な治療法である.

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