日本泌尿器科学会雑誌
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原著
恥骨後式根治的前立腺全摘除術後の吻合部狭窄:頻度,危険因子および治療法の検討
清水 崇高橋 敦市原 浩司新海 信雄池田 健野島 正寛高木 良雄
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2012 年 103 巻 4 号 p. 604-609

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抄録

(目的) 根治的前立腺全摘除術後の吻合部狭窄は0.5%~32%の頻度と報告されているが,原因については十分に解明されていない.吻合部狭窄の頻度,治療法について検討しその原因を探索した. (対象と方法) 当院で根治的前立腺全摘除術を施行した129例を対象とした.吻合部狭窄の治療法と狭窄診断までの期間の関係について調べた.合併疾患(高血圧,糖尿病,心血管疾患,脳梗塞,喫煙歴)と吻合部狭窄の関係について検討した.危険因子として,年齢,BMI,術前PSA,前立腺容積,手術時間,出血量,術後カテーテル留置期間,術後1日当たりの尿失禁量,ドレーンからの排液量,pTステージ,Gleason sum,切除断端についても検討した. (結果) 吻合部狭窄の発生頻度は10.9%(14/129例)であった.そのうち10例は術後3カ月以内に診断され,2例は1年以内,2例は1年以上経ってから診断された.単変量および多変量解析で吻合部狭窄の危険因子は1,800 ml以上の出血であった.治療としてブジー(2例),直視下内尿道切開(11例),TUR(1例)が行われていた.術後3カ月以内に吻合部狭窄と診断され内尿道切開を受けた症例8例中6例で狭窄が再発した. (結論) 術中出血量が吻合部狭窄の発生に関係していた.根治的前立腺全摘除術後の吻合部狭窄は稀な合併症ではないので,患者に対して十分なインフォームドコンセントが必要である.

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© 2012 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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