2009 年 100 巻 3 号 p. 504-507
症例は46歳, 女性.右側腹部痛を主訴に他院を受診し,造影CTで右腎梗塞と診断され,当院に救急搬送された.心臓超音波検査にて僧帽弁後尖に浮動性の疣贅を認め, 感染心内膜炎による腎動脈塞栓症と診断し,僧帽弁形成術を施行した.感染性心内膜炎は診断が必ずしも容易ではなく,適切な治療が行われなければ致死的となりえる.さらに,感染性心内膜炎は様々な合併症を引き起こし, 腎梗塞を合併することも決してまれではない.腎梗塞の成因が感染性心内膜炎である場合,速やかかつ適切な治療が求められるため,腎梗塞の症例に対してはその原因疾患として感染性心内膜炎も念頭におき,診断·治療を進めることが重要であると思われる.