1978 年 7 巻 7 号 p. 617-621
硫黄加硫タイプのゴム製品には, 酸化亜鉛は不可欠な配合剤である.この亜鉛の自然環境中への溶出について, 天然ゴムおよび合成ゴム (SBR) 加硫試料を用いて検討した.亜鉛溶出量は, 充てん剤配合量, 加硫度などの加工方法および浸漬溶媒, 浸漬時間, 浸漬温度, ゴムの種類などにより異なる.浸漬時間の増大につれ, 亜鉛溶出量は増加し, 蒸留水において, 105日の浸漬で天然ゴムから188ppm, 合成ゴムから157ppm溶出し, 4v/v%酢酸や0.1N塩酸中では160日の浸漬で天然ゴムから約80%, 合成ゴムから約90%溶出したことから, 配合された酸化亜鉛はほとんど溶出する.また天然ゴムと合成ゴムでもその溶出挙動に相違が認められた.