日本女性科学者の会学術誌
Online ISSN : 2186-3776
Print ISSN : 1349-4449
ISSN-L : 1349-4449
総説
皮膚疾患とトリプトファン代謝
清島 真理子 山本 康子斉藤 邦明
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 23 巻 p. 8-15

詳細
抄録

トリプトファン(TRP)の主な代謝経路であるキヌレニン(KYN)経路において,その中間代謝産物は種々の生命現象や疾患病態と密接に関係する。KYN経路にはTRPからKYN生成,KYNから3-hydroxyanthranilic acid(3HAA)生成,3HAAの代謝,の3段階がある。肝臓では主にtryptophan 2,3-dioxygenase(TDO),肝臓以外ではindoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)がKYN経路の律速酵素として働く。IDOについてはIDO1とIDO2の機能の差異も注目されている。KYN経路の重要性は脳神経領域において示されてきたが,最近では悪性腫瘍,感染症,炎症性疾患などにも幅広い関与が示されており,一部では臨床応用に向けた取り組みもされている。本稿ではTRP代謝と皮膚疾患について,特に代表的炎症性皮膚疾患である乾癬を中心に総説したい。

著者関連情報
© 2023 日本女性科学者の会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top