2005 年 14 巻 2 号 p. 221-235
現在も活発な海底熱水活動を続けている水曜海山の表層部が海底掘削機(BMS)によって掘削された。掘削コアは2∿10mの長さにおよび, 地下における熱水脈を貫通している。岩石記載やX線による鉱物解析などの結果, 海底熱水活動が起こっている地下の地質構造が高解像度で明らかになった。その結果, カルデラ中央部では砕屑物を, 東部では溶岩や角礫岩を母岩にして変質が起こり, 特に中央部では粘土化や硫酸塩鉱物によるセメント化が著しく進行している実態が, 明らかになった。さらに, 硫酸塩鉱物によるセメント化はカルデラ底に広くおよんでいることも明らかになった。掘削試料中の硫化鉱物の硫黄同位体組成も東部と中央部で違いがみられ, 中央部のものほど不均質な同位体組成を持つことが解明された。これは地下において海水硫酸と混ざりやすい中央部地下構造の特徴を反映していると考えられる。