高等教育がユニバーサル化段階に入り,在籍する学生の多様化とともに,学生支援に対するニーズも多様化している。それとともに,教育の一環という理念に基づき,学生相談は高等教育機関において果たす役割や期待が高まっている。その一方で,学生相談活動において,悩みを抱えていながらも相談に来ない学生への対応が多くの大学における必要性の高い課題となっている。そこで,本稿では学生相談活動実践における必要性の高い課題である悩みを抱えていながら相談に来ない学生の対応について,援助要請研究の視座から検討した。まず先行研究を概観し,援助要請に関連する知見の不一致および実践活動に向けては,援助要請行動のプロセスおよび計画的行動理論を援用することの有用性を示した。次に,悩みを抱えていながら相談に来ない学生への対応に向けて,学校心理学の枠組みに基づく,学生支援モデルを提案した。最後に,援助要請研究の視座から見た,大学における学生相談・学生支援の研究および実践における課題と展望を示した。