高レベル放射性廃棄物地層処分システムの性能評価においては,不確実性を完全に取り除けないことを理解したうえで,“合理的な保証”を行うために,「不均質な地質環境特性についての理解や長期予測に含まれる不確実性を逐次評価し,引き続く段階において,これを低減するために効果的な地質環境調査を行うこと.」が不可欠である.
本論では,高レベル放射性廃棄物地層処分の基盤的研究である深地層の科学的研究の一環として,通常の地質環境特性のモデル化・解析対象である考慮すべき範囲の概念やパラメータなどに加え,可能性は低いが完全に否定できない範囲の概念やパラメータを取り込むことにより不確実性が定量化可能な方法論を構築した.そして,東濃地域に存在する断層を対象にその方法論の適用性検討を行い,出力結果である地下水流動の不確実性を定量化することができたと共に,不確実性を低減するために実施すべき調査を提案することができたので,その結果を報告する.