食品と低温
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粒状凍結温州ミカソ果汁の凍結乾燥について
福谷 敬三佐野 和男
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1983 年 9 巻 3-4 号 p. 105-112

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抄録

(1) 液体窒素での冷却による粒状凍結果汁を製造する試験装置を作成した。粒の大きさは原料果汁の濃度, 果汁の噴出ノズルの孔の大きさおよび果汁の供給圧力により調整された。粒の直径が1-5.3mmの粒状凍結果汁が得られた。
(2) 13°Bxの原料果汁をトレイに入れ, 凍結乾燥を行った。恒率乾燥段階の終りでは, 果汁に含まれていた水分の約90%が除去され, 果汁の濃度は約55°Bxとなった。減率乾燥第一段階では, 水分の約97%が除去され, 約82°Bxとなった。乾燥は開始後6時間で終了し, 乾燥果汁の含水率は0.3%であった。果汁の液層1mm当たりの乾燥時間は約50分を要した。
(3) 粒状凍結果汁およびトレイに入れて緩慢凍結および急速凍結された果汁の乾燥を行い比較した。13°Bxの原果汁では, 発泡がみられず良好な乾燥が行われた。25°Bxでは, 緩慢凍結, 急速凍結ともに発泡がみられたが, 粒状凍結果汁では粒形の変化は殆んどみられなかった。45°Bxでは全ての区に発泡がみられた。
(4) 10°Bx, 20°Bx, 30°Bx, 40°Bxおよび50°Bxの原料果汁を用いて乾燥試験を行った。濃度の高いものほど恒率乾燥段階の時間が短かく, 品温も高く, 泡立ちも著るしくなった。
(5) パルプ含量の多い原料果汁では, 少ないものに比べ乾燥時間がわずかに短縮され, 発泡が抑制される傾向がみられた。
(6) 乾燥された果汁の貯蔵中の成分およびケーキングの発生を調べた。褐変がわずかにみられ, カロチノイドの減少がみられた。粒の大きな粒状果汁では, ケーキングの発生が抑制された。

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