日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
化学療法後に瘢痕狭窄を来し切除標本で組織学的完全寛解と診断された回腸悪性リンパ腫の1例
岡村 淳山本 聖一郎藤田 伸赤須 孝之森谷 冝皓小林 幸夫
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 45 巻 6 号 p. 651-656

詳細
抄録

 症例は71歳の女性で,下腹部痛を主訴に近医を受診し,腹部CTにて骨盤内腫瘤を認め当院を受診した.超音波下生検で,小腸原発のdiffuse large B-cell lymphoma(以下,DLBCLと略記)と診断し,化学療法(R-CHOP療法)を6コース施行し,画像所見上は腫瘍が消失したが,腸閉塞症状を繰り返すため手術適応と判断した.腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ,回腸末端は瘢痕性に狭窄しており,腸閉塞の原因と判断した.狭窄部を中心に小腸部分切除を施行した.狭窄部は潰瘍瘢痕のためほぼ完全閉塞となっていた.病理組織学的には異型リンパ球の残存を認めず,完全寛解(complete response;以下,CRと略記)であった.腸管悪性リンパ腫が,化学療法が奏効したために瘢痕性狭窄となり腸閉塞を来すことはまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top