日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
感染性膵壊死に対して衣類圧縮用袋を用いたplanned necrosectomyが有用であった1例
中沼 伸一萱原 正都中川原 寿俊伊藤 博田島 秀浩藤田 秀人北川 裕久藤村 隆太田 哲生
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2010 年 43 巻 1 号 p. 55-60

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抄録

 症例は30歳の男性で,体重120 kg,BMI 41の高度肥満であった.重症急性膵炎と診断され当院に紹介された.CTでは両側胸水,膵実質の不明瞭化,後腎傍腔に及ぶ滲出液が認められた(Grade IV).また,SIRS,急性循環不全の状態であった.入院後4病日,炎症反応の持続とCTにて膵頭部の血流障害が認められ,感染性膵壊死と判断し,necrosectomyを行った.腸管・組織浮腫のため,閉腹によるabdominal compartment syndromeが危ぐされたため,術後zipper techniqueとして衣類圧縮用袋を腹壁に固定し,腹腔内洗浄を伴うplanned necrosectomyを継続し,残存膵壊死組織の除去を行った.退院1年目の現在,患者は職場復帰している.衣類圧縮用袋を用いたzipper techniqueは高度肥満を有する感染性膵壊死の術後に有用な処置と考えられ若干の文献を加え報告する.

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