日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
原発巣と同時に切除した腎細胞癌胆嚢転移の1例
京極 典憲奥芝 俊一北城 秀司川原田 陽加藤 弘明海老原 裕磨中宮 紀子町野 倫太郎佐藤 英俊加藤 紘之
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 43 巻 5 号 p. 524-530

詳細
抄録

 症例は63歳の男性で,検診時の腹部エコーにて左腎腫瘍,および胆嚢腫瘍を指摘された.精査の結果,左腎癌,原発性胆嚢癌の術前診断で左腎摘出,および拡大胆嚢摘出術を同時に施行した.病理組織学的検査の結果,左腎腫瘍,胆嚢腫瘍ともにclear cell carcinomaの像を呈しており,腎癌の胆嚢転移と診断された.術後療法としてインターフェロン投与を開始し第30病日に退院となった.同一症例に複数の腫瘍性病変を認めた場合,その診断および治療方針の決定にはしばしば難渋する.腎細胞癌の胆嚢転移症例について過去34例の報告をもとに,術前診断の可否,術式選択について検討した.胆嚢腫瘍が原発性か転移性かの診断には病理組織学的検討を要するため,術前に診断を確定することは不可能である.したがって,腎および胆嚢に腫瘍を認める場合,癌遺残を防ぐためには原発性胆嚢癌に準じた術式を選択すべきである.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top