2010 年 43 巻 4 号 p. 424-430
症例は47歳の女性で,HBVキャリアーで当院肝胆膵センターにて経過観察中に腹部エコーで肝右葉に巨大肝腫瘤を指摘された.造影CT, SPIO-MRIで肝右葉から肝内側区域に10.0×9.0 cm大の肝腫瘍を認め,肝内胆管癌(intrahepatic cholangiocarcinoma;以下,ICC),混合型肝癌,胆管嚢胞腺癌の疑いで外科へ紹介となった.Child-Pugh Grade Aであり肝右3区域切除を施行した.病理組織学的検査所見で乳頭状に増殖したwell differentiated adenocarcinomaを認め,胆管内発育型ICCと診断された.No.12b, 12p, 12cリンパ節転移と胆嚢浸潤を認めた.術後経過は良好で,術後13日目に退院し術後7か月現在再発を認めていない.胆管内発育型ICCは腫瘤形成型や胆管浸潤型ICCと比較しまれである.ICCは肝炎との合併頻度が比較的高いとされているが,B型肝炎に合併した胆管内発育型ICCは,我々が調べえた範囲では3例報告があるのみと極めてまれであった.