日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
大腸原発髄外性形質細胞腫に腹腔鏡下回盲部切除術を行った1例
田島 隆行向井 正哉深澤 麻希矢澤 直樹福光 寛中村 雅登幕内 博康
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2010 年 43 巻 3 号 p. 277-281

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抄録

 症例は74歳の男性で,市健診にて便潜血陽性を指摘され近医を受診した.下部消化管内視鏡検査で上行結腸の悪性リンパ腫が疑われ当院受診となった.身体検査所見で表在リンパ節は触知しなかった.注腸造影X線検査と下部消化管内視鏡検査にて盲腸内に長径約2 cm大の1型腫瘍を認め生検の免疫組織染色検査で髄外性形質細胞腫と診断された.Fluorodeoxy glucose positron emission tomographyは同部に強い集積を認めたが転移所見は認めなかった.このため腹腔鏡下回盲部切除術D2リンパ節郭清を施行した.病理組織学的には形質細胞のびまん性増殖を認め,壁内深達度は粘膜筋板までκ鎖産生を伴っていたがリンパ節転移は認めなかった.術後18か月の現在,転移・再発を認めず外来通院中である.大腸原発髄外性形質細胞腫はまれで本邦では本症例で5例目である.特に腹腔鏡下回盲部切除術を施行した症例は,国内外を含め報告例は本症例が初例であると考え文献的考察を加えて報告する.

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