日本消化器外科学会雑誌
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TS-1/CPT-11を用いた術前化学療法ののち切除した同時性肝転移を伴う進行胃癌の1例
高山 智燮辰巳 満俊鎌田 喜代志岡山 順司樫塚 久記久下 博之植田 剛中村 孝人丸山 博司木村 真策
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2008 年 41 巻 3 号 p. 299-304

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抄録

症例は63歳の男性で, 上腹部痛を主訴に来院された. 上部消化管造影検査と内視鏡検査にて胃体下部に3型腫瘍を認めた. また, 腹部造影CTと腹部超音波検査にて肝S4に30mm大の肝転移を認めた. 単発性肝転移を伴う進行胃癌の診断にて術前化学療法を施行した. TS-1 100mg/body/dayを3週投与2週休薬, CPT-11は80mg/bodyを第1日目と15日目に点滴静注し, これを1コースとした. 2コースを終了後, 肝転移巣の著明な縮小を確認し, 開腹手術を行った.術中超音波検査にて肝転移巣は確認されず, 幽門側胃切除術, 胆.摘出術, リンパ節郭清D2+α, R-Y再建を施行した. 術後補助化学療法としてTS-1を1年間継続し, 術後3年経過した現在無再発生存中である. 同時性肝転移を伴う進行胃癌は肝病変が切除可能であれば, まず外科的治療が優先されることが多い. しかし, 本症例は術前化学療法が有効である可能性を示唆した.

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