日本消化器外科学会雑誌
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複数個の磁石誤飲により腸管に内瘻形成を来した成人の1例
西 佳史笹島 耕二松谷 毅宮本 昌之丸山 弘横山 正柳 健松田 明久柏原 元田尻 孝
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2008 年 41 巻 12 号 p. 2069-2074

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抄録

症例は44歳の男性で, 自閉症にて専門施設で精神医学作業療法を行っていた. 約1週間持続する腹痛と微熱を主訴に近医を受診し, 腹部X線検査で腹腔内異物を認めたため当科紹介となった. 腹膜刺激症状は明らかでなかったが, 血液生化学検査で著明な炎症所見を認め, 自然排泄不可能な腸管内異物と診断し, 緊急手術を行った. 術中所見では径約1cmの9個の磁石が腸管を介して結合し, 内瘻を形成していた. 瘻孔部を含めた十二指腸と空腸の一部を切除した後, 十二指腸空腸側々吻合術, 空腸空腸側々吻合術を行い, さらに空腸側から十二指腸内にドレナージ用のカテーテルを留置した. 術後経過は良好であり, 術後第13病日より経口摂取を開始し, 第42病日に軽快退院となった. これまで, 複数個の磁石を誤飲し腸管損傷を来した報告は, すべて乳幼児から学童であり, 本症例がはじめての成人例の報告である.

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