症例は77歳の男性で, 平成17年10月, 腹痛のため前医を受診した. 腹部CTで肝内胆管と総胆管の拡張および胆嚢腫大を認めた. ERCPでは右肝管は造影されず, 総胆管内に透亮像がみられた. 経口胆道鏡検査にて総胆管内に多量の粘液貯留と右肝管粘膜面にイクラ状隆起を確認した. 以上の所見から, 右肝管原発の粘液産生胆管腫瘍と診断した. PTPEによる残肝側の代償性肥大を図った後, 平成18年1月, 肝拡大右葉切除, 肝外胆管切除・胆道再建術, リンパ節郭清を施行した. 右肝管を主座とする乳頭状隆起を有する腫瘍は, 杯細胞を多く含有し胆管内腔に突出する深達度fmの乳頭管状型腺癌であり, 病理組織学的にintraductal papillary mucinous carcinomaと診断された. 術後1年6か月の現在, 再発なく社会復帰している. 粘液産生胆管癌は比較的まれな疾患であり, 本疾患に関する文献的考察を加え報告する.