日本消化器外科学会雑誌
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直腸穿通により骨盤内膿瘍および脊椎硬膜外膿瘍を来した1例
島 宏彰江副 英理奈良 理橋本 功二喜屋武 玲子磯部 将人古畑 智久山 直也浅井 康文平田 公一
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2007 年 40 巻 5 号 p. 665-670

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抄録

症例は38歳の男性で, 栄養障害で通院中の神経精神科に入院した. 入院後40℃の発熱を生じ, 約1か月後には右足底のしびれ, ついで右下肢の脱力および膀胱直腸機能障害の出現を認めた. 同日MRIにて硬膜外膿瘍が疑われ, 病院連携のもと当院放射線科に精査を依頼された. その結果, 直腸近傍の炎症が波及した病変と診断され, 当院高度救命救急センターに転送された. 搬入時における腹部造影CTおよび注腸造影X線検査にて, 腹腔内に膿瘍を認めないが, 下部直腸において造影剤の腸管外漏出を認め, 直腸穿通と診断された. 直腸穿通によるL1~S5における硬膜外膿瘍と診断し, T11~S1の棘突起右縁切除, 硬膜外膿瘍ドレナージ, Hartmann手術を行った. 直腸穿通による骨盤内膿瘍は初期症状が非特異的であり, 早期診断は容易ではない. 本症例は硬膜外膿瘍に起因する神経症状を呈したにも関わらず, 後遺症なく治癒しえた1 例であった.

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