日本消化器外科学会雑誌
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肝外胆管原発腺扁平上皮癌の1切除例
内藤 嘉紀檜垣 浩一田中 将也谷脇 智神代 正道
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2007 年 40 巻 5 号 p. 629-633

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抄録

症例は77歳の女性で, 脂肪肝にて外来経過観察中, 皮膚掻痒感, 黄疸が出現し検査入院となった. 血液検査上, AST, ALP, およびT-Bilの上昇を認めた. CTでは, 肝内胆管から総胆管にかけて拡張を認め, 下部胆管に内腔へ突出する腫瘤性病変を認めた. MRIでは, 腫瘍はT1強調像で膵実質より低信号, T2強調像で等信号を呈し, 血管造影検査で腫瘍濃染像を認め, PTCD下直接造影により下部胆管に腫瘍栓を思わせるカニ爪様途絶を認めた. 胆汁細胞診で腺癌と診断された. 肝外胆管癌の診断のもと膵頭十二指腸切除術を施行した. 腫瘍は総胆管内腔へポリープ様に増殖するとともに, 膵内に浸潤していたが境界は比較的明瞭であった. 組織学的には, 腫瘍は低分化腺癌と角化を伴う扁平上皮癌が混在し, 腺扁平上皮癌と診断された. 免疫組織学的に腺癌成分はCAM5.2陽性を示し, 扁平上皮癌成分は34βE12が陽性を示した. 腫瘍中央部では, 両者の移行像がみられた.

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