日本消化器外科学会雑誌
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空洞を形成した大腸癌肺転移の1例
北川 博之小林 道也岡林 雄大岡本 健並川 努杉本 健樹秋森 豊一甫喜本 憲弘荒木 京二郎
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2006 年 39 巻 6 号 p. 724-728

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抄録

症例は36歳の女性で, 平成11年6月, 同時性肝転移を伴うS状結腸癌に対して, S状結腸切除術とリンパ節郭清および肝切除術を施行した. 術後補助化学療法として動注リザーバーより5-FUを投与し, 外来で5'-DFURの内服を続けていた. 経過中肝転移の再発を3回認めたが, 局所療法によって肝転移巣のコントロールはできていた. その後, 新たな肝転移や腫瘍マーカーの上昇を認めず経過観察をしていたが, 平成14年12月, 胸部X線写真で左中肺野に空洞性病変を認めた. 胸部CTで左肺S6に大きさ約3cmの空洞性病変を認め, 肺アスペルギローマまたは転移性肺腫瘍を疑い経気管支肺生検を施行した. 組織診断では癌細胞が検出できなかったが, 臨床上肺転移を疑ったので診断および治療方針の決定のために手術を施行した. 病理組織学的診断でS状結腸癌の肺転移と判明した. 転移性肺腫瘍が空洞形成する例はまれである. 文献的考察を加えてこれを報告する.

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