日本消化器外科学会雑誌
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術後早期再発を来した1.5cm径の退形成性膵管癌 (紡錘細胞型) の1例
中西 喜嗣佐藤 正文川田 将也行部 洋久居 弘幸立野 久美子池田 健伊藤 智雄森川 利昭近藤 哲
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2006 年 39 巻 6 号 p. 689-695

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抄録

症例は69歳の男性で, 心窩部痛, 背部痛を主訴に来院した. USでは膵体部にhyperechoic spotを内部に含む, 約1.6cmの低エコー腫瘤を, 造影USで内部に染影効果を認めた. 造影CTでは, 腫瘤は内部均一の造影効果を認めた. 生検で膵癌と診断し, 膵体尾部切除を施行した. 肉眼的には腫瘍の1部分は主膵管内にポリープ状に突出していた. 病理学的には腫瘍は1.5cm径で紡錘細胞があたかも癌腺管の間質を形成するがごとくに両者が入り混じる形態を示していた. また, 主病巣に連続して上皮内癌が近傍の主膵管および分枝膵管内に進展していた. 以上より, 退形成性膵管癌の紡錘細胞型と診断した. 術後5か月目に左上腹部後腹膜に腫瘤を認めた. 術後6か月目にはVater乳頭部にも腫瘤が出現し, 生検でsarcomatous成分からなる腫瘍と判明した. 7か月目には肝転移も出現し, 8か月目に死亡した.

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