日本消化器外科学会雑誌
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原発性十二指腸癌自験例10例の臨床病理学的検討
尾上 俊介加藤 岳人柴田 佳久鈴木 正臣尾上 重巳長澤 圭一吉原 基田口 泰郎安藤 晴光臼井 弘明
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2006 年 39 巻 8 号 p. 1458-1463

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抄録

原発性十二指腸癌は比較的まれであり, 切除しえた自験例10例について臨床病理学的検討を行った. 対象患者の平均年齢は72.7歳, 男性8人, 女性2人であった. 主訴は嘔吐が5人で最も多く, 全例有症状で発見され, 診断時進行癌であった. 占居部位は球部から下行脚が多く, 大部分に膵頭十二指腸切除が行われた. 肉眼型は2型が5例, 組織型は中分化型腺癌が5例と多くみられた. リンパ節転移陽性率は70%であった. 5年生存率は58%であり, 他の膵頭部領域癌と比較して長期生存が望めると考えられた. 最近10年間の国内の論文73例を集計し, 壁深達度, リンパ節転移, 膵浸潤の有無が予後規定因子と考えられた. リンパ節転移陽性例, 膵浸潤例でも長期生存がみられたことから, 現時点では積極的な拡大手術が長期生存に寄与すると考える.

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