日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
術後3年経過後に腹壁転移を来した小腸癌の1例
小林 慎二郎大橋 正樹小熊 英俊天満 信夫草野 央高崎 健
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 38 巻 8 号 p. 1363-1368

詳細
抄録

術後3年経過後に腹壁転移再発を来した小腸癌を経験したので報告する.症例は64歳の男性で, 2000年10月小腸癌にて空腸部分切除術を施行, 病理所見はwell differentiated tubuler adenocarcinoma (se, INFβ, ly2, v2, n0) であった.術後経過観察中の2003年10月, 右下腹部に鶏卵大の腫瘤が出現した.精査にて腹壁腫瘍と診断し, 腫瘍が増大傾向を認めたため2004年1月腫瘍摘出術を施行した.腫瘍の主座は筋肉内にあり, 腹腔内には腫瘤や結節は認めなかった.術後病理所見で軟部組織内にwell differentiated adenocarcinoma が認められ, 小腸癌の腹壁再発と診断した.腹壁転移切除術後1年経過し無再発生存中である.小腸癌が他の部位には再発せずに, 腹壁再発のみを来した症例の報告は我々の検索したかぎりでは認められず, 極めてまれな症例と考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top