日本消化器外科学会雑誌
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Rokitansky-Aschoff sinus から発生した胆嚢嚢胞内癌の1例
宇山 攻沖津 宏石倉 久嗣一森 敏弘石川 正志木村 秀阪田 章聖藤井 義幸
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2005 年 38 巻 8 号 p. 1335-1339

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抄録

症例は55歳の女性で, 健診にて胆石を指摘され当院紹介となった. 来院時腹部超音波検査では胆嚢中央に濃縮胆汁で充満した嚢胞を認め, それにより胆嚢は頸部側, 尾部側と2房性に分かれて映り, 前者内に胆石を認めた. 腹部3D DIC-CTにても同様に造影され, 以上により胆嚢内嚢胞, 胆石症と診断し腹腔鏡下胆.摘出術を施行した. 切除胆.を開放すると, 頸部側に数個の胆石を認め, 体部には3.0cm大の.胞を認めた. 嚢胞を開放すると内部に濃縮凝固した胆泥を認めた. 病理組織検査では.胞全体が巨大化したRokitansky-Aschoff sinusであり, 内腔全面が非浸潤性の高分化腺癌で覆われ, pap, m-RAS mp, pHinf0, pBinf0, pPV0, pA0, pBM0, pHM0, pEM0 であった. 胆嚢胞はまれであり, さらに内面に癌が発生した症例は世界でも4例を認めるのみである. 今回, 我々は胆嚢胞とその内面に癌を合併した非常にまれな症例を経験したので文献的考察を加えこれを報告する.

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