2004 年 37 巻 6 号 p. 675-679
今回, 経皮的ラジオ波焼灼術後にseedingをきたした肝細胞癌の1例を経験した. 症例は56歳の女性で, 肝S7被膜下の28×20mm径の肝細胞癌に対し, Cool-tip型電極を使用し2回の穿刺で経皮的ラジオ波焼灼術を施行した. 約9か月後の腹部CTにて前回焼灼部の低吸収域から肝外に突出する形で, 動脈相で淡く濃染される小結節病変を認めた. 肝細胞癌再発の術前診断にて肝部分切除術を施行した. 摘出標本では前回焼灼部に近接し7×6mm大と3×3mm大の腫瘍を2個認めた. 病理組織検査では焼灼部は凝固壊死に陥った肝細胞で, 脂肪組織を介在して2個の高分化型肝細胞癌を認めた. 2回の穿刺, 焼灼に一致し腫瘍を2個認めたこと, 焼灼部と腫瘍との連続性がみられなかったことなどからseeding と診断した. 経皮的ラジオ波焼灼術後のseeding の対策も含め検討し報告する.