日本消化器外科学会雑誌
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消化器癌患者に対する計画的なinformed consentと緩和ケア
癌患者は終の住みかを選べるか
角田 明良渋沢 三喜草野 満夫
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2002 年 35 巻 8 号 p. 1457-1460

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抄録

1996年10月から2001年4月までに, 著者自身が主治医となった癌患者235人のうち癌告知を行ったのは221人(94%)で, この間に癌病死した患者は45人である. これらを対象として, 計画的なinformed consent (IC)と緩和ケアが未確立であった前期と確立した後期に分けて, 患者が死を迎えた場所を調査した. 前後期に亡くなった患者はおのおの10人, 35人であった. 死を迎えた場所は, 前期では大学病院8人, 緩和ケア施設と他院がおのおの1人であったのに対し, 後期では大学病院のほかに緩和ケア施設16人, 自宅6人, 癌専門病院4人と多様であり, その分布は前後期で有意の差が認められた(p=0.019). 大学病院の比率をみると前期80%(8/10), 後期21%(8/35)で後期は前期より有意に低頻度であった. これは計画的なICと緩和ケアの確立によって, 多くの患者が死を迎える場所を自己決定したためと考えられた.

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