2000 年 33 巻 5 号 p. 653-657
胃前庭部2型進行癌と診断された初診時68歳の男性に対し胃亜全摘術, 大動脈周囲リンパ節郭清を施行. 組織学的にも大動脈周囲リンパ節に9個の転移を認め, 術後CDDP 75mg, day 1, 5-FU 750mg, day 1~5のFP療法を施行し, さらに外来で5'-DFURを8か月間内服した. 2年10か月後に局所リンパ節再発を認め, 横行結腸と肝S5の部分切除術を施行. 初回手術から5年3か月後には, 大動脈周囲に長径5.0cmのリンパ節集塊を認め, 再発と診断し, CDDP 75mg, day 1day 8, 5-FU 500mg, LV 30mg, day 1~8のFLP療法を施行した. 2クール終了後にCRとなり, 患者は初回手術から5年9か月間生存中である. FLP療法は, 当科では根治切除不能高度進行胃癌症例の術前化学療法として施行しているが, 特にリンパ節転移に奏効率が高く, 本症例は良い適応であった. また, 有害事象もGrade 2の下痢が認められたのみで安全性も高く, 進行再発胃癌に対し有効な治療法と考えられる.