日本消化器外科学会雑誌
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胆管嚢胞腺癌の1例
山本 栄和田中 明辻 勝成吉田 秀行前田 敏樹武田 亮二片岡 正人岡村 隆仁宇都宮 裕文向原 純雄
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2000 年 33 巻 2 号 p. 215-219

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抄録

症例は52歳の女性. 以前よりときどき, 右上腹部痛を自覚していた. 市民検診にて肝嚢胞を指摘され, 精査目的にて入院となった. 腹部CT, 超音波検査にて肝左葉に直径7cm大の嚢胞性病変を認め, 嚢胞壁から内腔に突出した乳頭状隆起が見られた. MRIではT1強調画像で高信号, T2強調画像でも高信号な嚢腫を肝左葉に認め, その内部に嚢胞壁と連続し内腔へ突出した充実性部分が見られた. 画像検査上, 胆管嚢胞腺癌に特徴的所見であり, 術前, 胆管嚢胞腺癌と診断し, 拡大肝左葉切除, 尾状葉切除, リンパ節郭清術を施行した. 嚢胞内溶液はゼリー状で粘液性であり, 肉眼的に薄い嚢胞壁と嚢胞壁から突出した充実性の部分から成っていた. 病理組織学的に嚢胞内に存在する充実性部分には異型性のある粘液上皮が塊をなして浸潤増殖しており, 胆管嚢胞腺癌と診断した. 術後2年10か月経過した現在, 再発兆候なく健在である.

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