日本消化器外科学会雑誌
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腹腔鏡下胆・摘出術における術後感染予防
抗菌薬単回投与と2日間投与の比較
畝村 泰樹石田 祐一中林 幸夫山寺 仁大塚 正彦中野 聡子三澤 健之橋本 雄幸小林 進山崎 洋次
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2000 年 33 巻 12 号 p. 1880-1884

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抄録

術後感染症の危険の少ない腹腔鏡下胆嚢摘出術 (LC) 242例に対し, 予防投与抗菌薬1回投与 (単回群) と2日間投与 (2日群) の前向き無作為比較試験を施行した.両群の背景因子では手術時間が2回群において軽度延長していた他は有意差なく, 術後感染発症率も単回群1.7%, 2日群3.3%と同等であった. 感染発症部位はすべて1か所の創感染であり, 術野外感染は認められなかった. 術翌日の白血球数, 顆粒球数, CRP値および術後入院期間にも有意差はみられなかった. 摘出胆嚢内胆汁の9.9%に細菌を認め, 胆嚢内有結石例での陽性率が有意に高かった. しかし, 細菌陽性例と陰性例の間に感染発症率の差は認められず, また検出された菌の約3割は投与された予防薬に耐性を示していた. 以上より, 術後感染の危険の少ないLCにおける予防薬は, 皮切前1 回の投与が妥当と考えられた.

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