日本消化器外科学会雑誌
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進行食道癌に対する胸腔鏡ならびに腹腔鏡手術の手技と現状
赤石 隆
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2167-2171

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抄録

胸腔鏡手術: 適応は深達度がm3からA2までであり, 術中左片肺換気に耐えることとしている. 進行食道癌に対するものは確実なリンパ節郭清を要求される. このためにthoracoweb法により肺を術野から排除し助手の手になる鉗子類もすべて縦隔操作に投入して効率化をはかる. 予後は従来の開胸法によるものと比較して差を認めなかった. 長期的にみた術後肺活量の回復は開胸法よりも良好であった.
腹腔鏡手術: 胸腔鏡手術であっても術後早期の肺活量の低下がなお起きることから, 始められるようになったが現在なお手技の確立に至っていない. 上記の要請から小開腹を置かないのが理想であるので, 手技上の工夫を要する. 我々は小網内にバルーンを挿入し, 膨らませて胃を挙上して, さらに屈曲開排するレトラクターをバルーン内に挿入して直接胃および栄養血管に触れないように視野の展開を行っている.

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