日本消化器外科学会雑誌
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Systemic lupus erythematosusに併存した肝転移を伴う膵solid cystic tumorの1例
谷口 雅輝佐野 彰内田 学平林 邦昭硲野 孝治升木 行雄
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2094-2098

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抄録

肝転移を伴った膵solid cystic tumor (以下, SCT) の1例を経験したので報告する.患者はsystemiclupus erythematosusで治療を受けていた13歳の女性で, 愁訴はなく, 検診の腹部超音波検査で膵体尾部および肝に腫瘤を認め, 精査入院となった.画像診断にて膵体尾部に嚢胞状成分と充実性成分を混じた大きさ8×6×5cmの腫瘤を, 肝S7とS4に径2cmと0.5cmの充実性腫瘤を認めた.臨床的に膵SCTおよびその肝転移と診断し, 膵体尾部脾合併切除および肝部分切除を施行した.病理組織検査にて膵SCTとその肝転移と確定診断した.腫瘍被膜浸潤や肝以外への転移は認められなかった.原発巣と転移巣はflow cytometryでともにdiploid patternであった.現在まで術後4年5か月経過しているが再発兆候は認めていない.本邦の肝転移を伴う膵SCT報告例を本例も含め21例集計し, 臨床病理学的に検討を加える.

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