日本消化器外科学会雑誌
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単純性イレウスと絞扼性イレウスの鑑別診断における腹部超音波検査の有用性
井戸 弘毅利光 鏡太郎木村 圭一本多 桂鈴木 高
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1997 年 30 巻 1 号 p. 34-38

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抄録

当院で最近経験した癒着性イレウス78例を対象に単純性 (70例) と絞扼性 (8例) の鑑別における腹部超音波検査の有用性について検討した.腸管の強い拡張 (3cm以上), 腹水, 腸管内容物の沈殿 (3所見) は絞扼性に特徴的であったが, 腹水の性状, 腸管壁構造の変化では単純性と絞扼性に差はみられなかった.3所見を指標に癒着性イレウスをgrade分類した.grade1: 3所見のうち0または1所見のみ認める (単純性: 絞扼性=48: 0).grade2: 3所見のうち2所見を認める (単純性: 絞扼性=21: 1).grade3: 3所見すべてを認める (単純性: 絞扼性=1: 7).この結果から, grade1は単純性イレウスとして治療, grade2は絞扼性も考慮し, 頻回の検査を含む保存的治療, grade3は絞扼性と診断して手術とするのが適当と考えられ, 癒着性イレウスの治療方針を決めるうえでこの分類法は有用と考えられた.

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