日本消化器外科学会雑誌
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Thermal ablation of the gallbladder3例の経験
布施 明平井 一郎久津 裕石山 秀一浦山 雅弘五十嵐 幸夫塚本 長
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1997 年 30 巻 12 号 p. 2327-2331

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抄録

沸騰した造影剤による胆嚢のthermal ablationを3例に施行した. 2例は切除不能の悪性腫瘍, 1例は全身状態不良のために手術適応とならなかった症例である. これらの症例は今後の胆嚢炎を予防するため, および, 胆嚢外瘻チューブの抜去を希望したためにthermal ablationを施行した. 胆嚢内に挿入したチューブ周囲の局所麻酔と胆嚢粘膜の表面麻酔を行った後, チューブより沸騰した造影剤を注入した. 造影剤の注入時間は30秒~2分間で, これを1~2回行った. 1例はさらに時間をおいてthermal ablationを追加した. 3例ともthermal ablationによる強い疼痛や合併症は認められなかった. 3例中2例は胆嚢外瘻チューブの抜去が可能となり, 1例は胆嚢の完全な萎縮が得られた. 沸騰した造影剤によるthermalabl ationは, 簡便で安全かっ有効であり, 症例を選んで行えば手術にかわる治療法になると思われた.

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