症例は67歳の女性. 1993年12月脂肪肝の経過観察を目的に施行した腹部超音波検査および腹部CT検査で, 胃と肝臓の間に径約4cmの腫瘍を認めた. 血管造影で左胃動脈より栄養されていることから, 胃外発育型の平滑筋腫と診断し1994年5月13日手術を施行した. 腫瘍は胃体上部小彎より出る径約4cmの有茎性胃外発育型腫瘍であった. 悪性の可能性も否定できず胃壁全層径3cmの模状切除と周囲のリンパ節郭清を施行した. 腫瘍は組織学的に免疫染色法等より神経鞘腫と診断された. 有茎性の胃外発育型神経鞘腫は本邦で3例目でありきわめてまれであった. 3例の特徴は非有茎性の胃神経鞘腫と比較して差はなく, 切除前に他の胃粘膜下腫瘍との鑑別や良悪性の診断は困難であった. 有茎性胃神経鞘腫の治療方法に一定した見解はないが, 本症例は手術結果から胃楔状切除が適切と思われた.