日本消化器外科学会雑誌
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癌の認識からみた胃癌術後quality of lifeの検討
鈴木 孝雄落合 武徳永田 松夫軍司 祥雄中島 一彰磯野 可一
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1995 年 28 巻 3 号 p. 650-655

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抄録

胃癌術後患者87例のquality of life (QOL) を癌の認識の有無から検討した.身体的要因, 精神的要因, 社会的要因の3分野12項目からなる質問票を作成しアンケート調査を行った.アンケート結果を各項目5点, 最高60点のQOL評価点とした.癌と認識している患者は有意にQOLがすぐれていた (49.4vs45.7, p=0.0067).両群の背景因子に偏りのみられた術後経過期間をQOLの安定する6か月以降, 術式を幽門側切除術に限っても癌と認識している患者のQOLが有意にすぐれていた (51.6vs45.3, p=0.0014).各要因ごとの検討では, 癌と認識している患者の身体的評価, 社会的評価は良好であったが, 精神的評価は認識の有無の影響を受けなかった.なかでも, 病気に対する不安感が術後経過6か月以内で癌と認識している患者に有意に強く認められており (p=0.0136), 告知後の精神的な援助が重要であると思われた.

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