日本消化器外科学会雑誌
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多発胃癌の特徴と治療
古河 洋平塚 正弘岩永 剛今岡 真義石川 治甲 利幸佐々木 洋亀山 雅男大東 弘明中森 正二中野 博史安田 卓司
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1995 年 28 巻 10 号 p. 2111-2114

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抄録

1961~1988年までに手術した胃癌3,664例中多発胃癌は323例8.8%にみとめた. 多発胃癌の病理組織学的特徴, 病巣の存在様式, リンパ節転移, さらに残胃の癌について検討した.
多発癌病巣は単発癌にくらべて陥凹型が低率で隆起型. 隆起+陥凹型・平坦型が高率であった. 49歳までの若年層では病巣が互いに接近するものが多く (77%;高年層30%), 50歳以上の高年層では互いに離れたものが多かった (70%, 若年23%) (p<0.05). 多発癌のリンパ節転移率 (33.3%) は単発癌 (43.8%) より低かった (p<0.05). 残胃の癌は第1回手術後10年までに発生するときは吻合部以外の部位が多く, 15年以上後では吻合部が多かった.
胃癌胃部分切除をおこなうときは癌の遺残をおこさないよう残胃を注意深く検索するべきである. 胃部分切除後は内視鏡を用いて残胃を観察するのがよい方法である.

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