日本消化器外科学会雑誌
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膵臓原発のmalignant rhabdoid tumorの1切除例
山神 和彦真辺 忠夫馬場 信雄樋口 佳代子浅野 昇
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1995 年 28 巻 10 号 p. 2017-2021

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抄録

膵臓原発のmalignant rhabdoid tumor (MRT) を報告する. 症例は62歳の男性で膵頭部腫瘍の診断をうけ本科入院, computed tomography (CT), 腹部超音波検査で膵頭部に6cm大の腫瘤を認め, 手術を施行した. 肝転移, リンパ節転移, 腹膜播種など認めず, 線維性被膜におおわれた腫瘍を一塊に膵頭十二指腸切除術を施行しえた. 絶対的治癒切除にもかかわらず, 術後50日目に腹膜播種を呈し死亡に至った. 組織標本では, H.E.染色で好酸性硝子様細胞質内封入体を認め, 免疫組織化学反応ではvimentin強陽性, keratin陰性であった. 電子顕微鏡像では細胞質に中間フィラメントのうずまき状集塊を認めた.
以上より膵臓原発のMRTと診断した. MRTは小児腎原発のまれな腫瘍として報告されており, 悪性度が高く, 予後不良の疾患である. 近年, 腎臓以外のMRTの報告例も認めるが, 検索する限りでは膵臓のMRTは報告例がなく, 本症例が世界で第1例目と考える.

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