日本消化器外科学会雑誌
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切除断端陽性胃癌に対する術中追加切除の臨床的検討
森脇 義弘山中 研小金井 一隆呉 宏幸工藤 琢也森田 修平
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1994 年 27 巻 9 号 p. 2087-2092

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抄録

過去10年間の治癒切除胃癌317例のうち, 初回切除時に組織学的に切除断端陽性で, 同手術中に追加切除を行った14例 (追加切除群) について臨床的検討を行った.対照には, 追加切除群と同様の浸潤型で, 初回切除断端陰性であったか, 切除断端陽性と判断し追加切除を行ったが組織学的には陰性であった197例 (対照群) を用いた.追加切除群の予後的漿膜因子 (PS) 陰性例4例では, 再発例や癌死例はなかった.追加切除群PS陽性例10例の5年生存率, 5年無症候率 (無症候期間から生存率に準じて算出) は33.3%, 13.0%で対照群PS陽性例の30.6%, 23.2%と差は認められず, リンパ節転移別にみても両群間で差は認められなかった.ステージ別に生存率, 無症候率を比較しても差は認められなかった.初回切除断端陽性となりen bloc切除がなしえず, 同手術中に追加切除を行っても生存率の低下や再発率の増加はなく, 術中追加切除は根治性からみて, 意義のある手技であることを確認した.

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