日本消化器外科学会雑誌
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固有筋層深達直腸癌症例の検討-特にリンパ節転移状況よりみた術式選択について
山口 明夫伊井 徹北川 裕久竹川 茂石田 哲也西村 元一神野 正博小坂 健夫米村 豊三輪 晃一宮崎 逸夫
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1990 年 23 巻 12 号 p. 2783-2786

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抄録

固有筋層深達直腸癌 (以下pm直腸癌) についてリンパ節転移状況を検討し, 機能温存術式選択の上で参考となる術前の所見を検索した.pm直腸癌32例の占居部位は直腸s状部 (Rs) 8例, 上部直腸 (Ra) 4例, 下部直腸 (Rb) 20例で, そのリンパ節転移率には差がみられなかったが, 側方向転移はRbの1例にみられたにすぎなかった.また腫瘍径では3cm以下の症例には転移はみられなかった.肉眼型, 組織型とリンパ節転移率には差はみられなかった.DNA ploidy patternをみると, diploid症例ではリンパ節転移率が8.3%と低率であったのに対して, aneuploidでは31.3%と高率であり, 転移程度をみてもn2の2例はすべてaneuploidであった.
以上よりpm直腸癌は原則として, 機能温存術式の適応となるが, 占居部位Rbで, 3cm以上のaneuploid症例では拡大郭清が必要であると考えられた.

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