日本消化器外科学会雑誌
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食道癌の細胞核DNA量による悪性度と担癌宿主の免疫応答に関する研究
入江 均
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1989 年 22 巻 6 号 p. 1161-1171

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抄録

食道癌の悪性度を明確にするため, 腫瘍の悪性度を癌細胞の核DNA量の測定によって, また, 宿主の免疫応答をモノクローナル抗体Leu 7を用いてその陽性細胞浸潤度で検討した. パラフィンブロック標本134症例のDNA index (DI) をflow cytometryを用いて測定し, その90症例の癌局所のLeu7陽性細胞浸潤度を間接酵素抗体法で測定した. 低分化型扁平上皮癌, 未分化癌の84%はdiploidを示し, 中・高分化型扁平上皮癌では約50%にaneuploidを認めた. 中・高分化型のDI値は, 進行度が進むにつれて高値を示した. Leu 7陽性細胞浸潤度は低分化型・未分化癌で低く, またstageが進むにつれ低くなった. 臨床的悪性度が高い早期再発死亡例はDI≧1.7でLeu 7陽性細胞浸潤度が軽度の症例に高頻度に認めた.

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