1988 年 21 巻 10 号 p. 2399-2405
大腸手術前の腸管処置にpolyethylene glycol電解質液による全腸管洗浄を行った.45症例に用いて臨床評価を行い, そのうち10例については処置前後の腸内細菌数の変化を調べた.結果は洗浄液の使用量が平均3,100mlで前処置に要した時間は平均5.1時間であった.服用に伴う症状は軽度で92%に良好な腸管処置が得られ, 本法は簡便で有用な腸管処置法であると考えられた.また腸管洗浄のみでは腸内細菌数は回収液1mlあたり4.0×108から9.0×106に減少したのみで処置後も腸内には多量の細菌が残存した.Kanamycin 2gとmetronidazole 1gの経口投与でも2.3×108から2.9×106と減少したのみであり, 適切な抗生剤の使用方法については今後も検討が必要と考えられた.