2016 年 49 巻 9 号 p. 889-896
症例は70歳の男性で,10年前より胆石を指摘されていたが,今回右季肋部痛を主訴に当院内科を受診した.腹部USでは胆囊の壁肥厚と胆囊内に複数の結石を認め,drip infusion cholangiographic-CT(以下,DIC-CTと略記)でB5胆管は走行異常を認め,胆囊管と共通管を形成していた.術中胆管損傷を防止するために,術前にB5胆管に内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage;ENBD)留置を施行し,当科で待機的に腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.術中所見では,胆囊頸部で結石が嵌頓しさらに隣接するB5胆管に瘻孔を形成しており,瘻孔部でB5胆管を損傷した.このため,腹腔鏡下に胆囊とB5胆管部分切除を行い,B5末梢側胆管内に無水エタノールを注入するablationを加えた.胆管走行異常を伴い,胆囊結石の嵌頓による胆囊B5胆管瘻に対し,腹腔鏡下に胆囊とB5胆管部分切除に加え,B5末梢胆管のbiliary ablationを加えることで良好な結果が得られた.