2016 年 49 巻 9 号 p. 897-904
症例は57歳の男性で,検診にて肝内胆管拡張および肝機能障害を指摘され,精査の結果,肝門部領域胆管癌と診断された.2013年10月肝左葉尾状葉切除+肝外胆管切除施行した.pT2a,pN0,fStage II,fCurAであった.術後経過観察中に2014年6月に膵内胆管に腫瘤を認め,再発を疑う所見を認めた.明らかな遠隔転移は認めず膵頭十二指腸切除術を施行した.pT1,pN0,fStage I,fCurAで前回腫瘍と類似した腫瘍であった.術後約6か月無再発生存中である.画像や病理組織所見などを振り返ると,本症例では初回手術時の乳頭状腫瘍が下部胆管へ脱落後に生着して再発した可能性が高く,比較的まれな再発機序と思われる.