日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
膵頭部真性囊胞により胆管圧排性の閉塞性黄疸を生じた1例
青山 広希久留宮 康浩世古口 英小林 聡深見 保之大岩 孝
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2014 年 47 巻 11 号 p. 697-703

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抄録

 症例は63歳の女性で,22年前に20 mmの膵頭部囊胞を指摘された.2年前に30 mm,1年前に37 mmと次第に増大が見られたが,内部結節など腫瘍性病変を疑う所見に乏しく,経過観察を行っていた.膵外傷や膵炎の既往はなく過剰な飲酒歴もない.今回,尿の濃染と皮膚掻痒感を主訴に当院を受診した.血液生化学検査では総ビリルビン2.2 mg/dlと軽度上昇し,肝胆道系酵素の異常を認めた.腹部CTとMRIでは膵頭部に50 mm大の囊胞と肝内胆管の拡張を認めたが,囊胞内部に充実成分は認めなかった.ERCPでは中下部胆管の圧排性狭窄と肝内胆管の拡張を認め,膵管にも圧排と尾側膵管の拡張を認めた.膵管と囊胞に交通は認めなかった.膵頭部囊胞とそれに伴う閉塞性黄疸に対して,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.囊胞内部は漿液性の液体が見られた.病理組織学的検査所見は内面を異型のない単層立方上皮が被覆している真性囊胞であった.

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