日本臨床細胞学会雑誌
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調査報告
千葉県における尿細胞診標本作製法と液状化細胞診(LBC)の有用性の検討
―アンケート調査から―
須藤 一久諏訪 朋子小山 芳徳
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2022 年 61 巻 4 号 p. 251-256

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抄録

目的:千葉県内の協力施設による尿細胞診標本作製法を調査し,LBC 法の有用性について比較検討を行い,現状と利点と問題点を明らかにした.

方法:県内 20 協力施設(内訳は,一般病院 8 施設,大学病院 6 施設,公的病院 4 施設,がん専門病院 1 施設,検査センターが 1 施設)に対し,尿細胞診標本作製法の現状調査・LBC 法に対しての意見を MS-Word ファイルにて作成し,記述式にて回答後 E-mail にて回収,こちらで設定した項目に分け調査した.

成績:現状はどの施設においても「スライドグラスから剥離が少なく,判定をおこなうための細胞を回収し塗抹する方法」を重視し実施していた.各施設が考える LBC 法の利点としては「均一で豊富な標本作製可能」であり欠点としては「コストがかかる」が多くみられた.

結論:一県単位ではあるが尿細胞診標本作製と LBC 法についてのアンケート調査を行い報告した.尿細胞診作製法では,集細胞効率が高く作製者の技量の差がなく質的再現性のよい方法が望まれる.「コストがかかる」という欠点があるが LBC 法が検体処理・標本作製の標準化,細胞判定の標準化を確立していくために,今後推奨法となっていくべきと考える.

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© 2022 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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