日本臨床細胞学会雑誌
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肺小細胞癌およびカルチノイドの剥離細胞形態とその免疫組織化学的性格
両肺腫瘍に関する系統的分類についての一考察
三枝 圭正和 信英山田 喬嶋田 晃一郎半澤 儒
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1992 年 31 巻 3 号 p. 386-398

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抄録

肺小細胞癌48例およびカルチノイド9例について, 細胞形態学的ならびに, 酵素抗体法による免疫組織化学的所見について検討した. 1) 検索の基本である燕麦細胞型ならびに中間細胞型の組織学的規準を詳細に設定し, これに基づいて各亜型を分類し, それぞれの剥離細胞像の所見を整理した. 2) 化生を伴う小細胞癌の剥離細胞像を記載した. 3) 剥離細胞の形態からみると, 小細胞癌とカルチノイドとの境界病変というべき非定型的カルチノイドは2例あり, その1例の剥離細胞は中間細胞型の肺小細胞癌に最も類似していた. また病理組織像において, 他の非定型的カルチノイドの1例は細胞診を施行し得なかったが, その組織像においては, 核型からみて中間細胞型の細胞に類似していた. 4) 免疫組織学的に検索した結果, 神経/神経内分泌系への分化傾向は, カルチノイド, 中間細胞型, 燕麦細胞型の順に強く, 上皮系への分化傾向は逆に, 燕麦細胞型, 中間細胞型, カルチノイドの順に強いことが認められた.
以上の所見より, 肺小細胞癌のなかで中間細胞型は形態学ならびにその分化の面からもカルチノイドにより近い性格を有していることが考えられた.

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