日本臨床細胞学会雑誌
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細胞診による外陰の鼠径肉芽腫の診断
陳 欣栄手島 英雄日野 修一郎松岡 良森 宏之藤原 作平
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1987 年 26 巻 3 号 p. 499-503

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抄録

21歳の初妊婦の外陰より発生したgranuloma inguinaleについて, その細胞および組織像について言及した. 外陰部の肉芽性潰瘍底からの擦過細胞標本は, Papanicolaou染色を行って, 多数の好中球浸潤を伴う高度の炎症性背景が認められた. Oil immersionにて, 多型白血球および組織球の細胞質内に多数の好塩性の桿状の細胞内封入体の集塊, すなわちDonovan bodyを認めた. 潰瘍辺縁から採取した生検組織をHematoxylin Eosin染色したところ, 真皮や皮下脂肪組織に高度の炎症性細胞浸潤を認めたが, Donovan bodyは明瞭ではなかった. そこで, slow Giemsa染色 (1%Giemsa液over night) では毛嚢周囲の組織球の細胞内, 外にDonovan bodyの特徴とされている赤紫色に染まる桿菌の集塊を認めた. 患者は3週間の抗生物質全身投与にて, 細胞診のDonovanbodyが消失し, 潰瘍が瘢痕形成し治癒した.

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