CAMPUS HEALTH
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原著論文
ムンプス抗体陽性率低下の要因研究
-2008~2018年における医学部新入生のムンプス抗体調査-
和泉 恵子中込 裕美守屋 圭子篠原 学髙山 一郎武田 正之
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2020 年 57 巻 2 号 p. 89-94

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抄録

2008年から2018年に山梨大学医学部に入学した18才の学生を対象に,ムンプス抗体陽性率低下要因を検討した。入学時に抗体検査(EIA法)を実施し,かつ予防接種問診票のムンプスワクチン接種歴および罹罹歴の有無が明記してある851名を対象とした。ワクチン接種率,罹患率,抗体陽性率,抗体価中央値,ワクチン歴・罹患歴別の抗体陽性率と抗体価中央値について出生年度毎に推移を示した。抗体陽性率は78.9%(1990年度生まれ)から53.3%(1998年度生まれ)に低下し,1995年度生まれ以降は65%未満であった。罹患有ワクチン接種無(以下罹患歴のみ)の者の抗体陽性率と抗体価中央値は,すべての出生年度において 75%以上,6.0以上であった。抗体陽性率と抗体価中央値は,罹患歴のみ者の方が罹患無ワクチン接種有(以下ワクチン接種のみ)者よりもほとんどの出生年度で有意に高かった。一方で,ワクチン接種のみ者の抗体陽性率と抗体価中央値は,1990年度生まれの75.5%,6.7から年次低下し,1995年度生まれ以降は50%以下,4.0以下となった。ムンプス抗体陽性率低下の一要因として,ワクチン接種のみ者の抗体陽性率の経年的な低下が明らかになった。本結果よりムンプス感染制御のため,ムンプスの2回の定期接種化が必要と思われる。

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