2020 年 15 巻 p. 78-89
本研究では,「校内チーム支援体制構築」のためには何が必要か,スクールソーシャルワーカー(SSW)に何が求められるのかを明らかにすることを目的とし,質問紙及びインタビュー調査を行った.本研究では特に教育相談委員会の役割と協働に焦点を当てた.対象中学校では,調査者(SSW)が教員と共に生徒を支援していく3年間の実践の中で,教員によるSSWについての認知度が高まり,SSWに期待する役割の範囲も広がっていった.また,教員と協働した教育相談委員会で用いるシートの改定により,「情報共有・今後の対策等」が可視化され,会議が効率的に行われるようになった.一方,教育相談委員会の内容を他の委員会等と共有できておらず,「情報が滞っている」ことも明らかとなった.学校組織全体の情報共有と協働を機能させ,連携が取れることによって,教員らが子どものことをより深く理解し,それが子どもたちへの対応にも反映されることが示唆された.